話題を聞き解く|歌で伝えるチカラ

3年ぶりに開かれた県庁オープンデー。オープニングを新生「にゃんたぶぅ」が飾った

※この記事は、公益社団法人浦和法人会の会報第249号(2023年1月1日発行)に掲載されたものです。
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伝えることの大切さを歌にのせて
エコうたユニット にゃんたぶぅ

彼に初めて出会ったのはいつだったか。山高帽をかぶり、白いドレスシャツに極細のネクタイ、黒の上着にファーマフラーを巻き、大正モダンを思わせる黒袴のような衣装が妖しかった。日本初の「フード歌謡歌手」を名乗り、『肉汁物語』をムードたっぷりに歌い上げる。

♪肉/にく/ニク/NIKU/肉が食べたい ♪肉/にく/ニク/NIKU/肉を食べよう…

彼が歌う「フード歌謡」は、ムード歌謡をもじった、いかにもというアレンジで笑えた。というよりも、その完成度の高さに感心した。肉のことを熱く歌う姿に、そこまで思い入れてどうするんだろうと、思わずツッコミたくもなった。

だが、うまい――肉ではない、歌が。広い音域と並々ならぬ声量、抜群の歌唱力と魅惑的な歌声が、聴く者を魅了する。自作の楽曲も極上、ただ者とは思えなかった。

歌手・和田琢磨。フジテレビのオーデション番組「ゴールド・ラッシュ!」の第10代チャンピオンに輝き、「SWEET BEAT SWING」のヴォーカルとしてメジャーデビュー。デビュー曲『Go!Paradise』は、JR西日本のテレビCMのイメージソングにもなった。詞・曲は和田の手によるもの。これまでに、数々のCMソングや歌手・西田ひかるなどへの楽曲提供も手掛けてきた。

和田に声を掛けるきっかけになった曲がある。『save the EARTH ~地球が叫んでいる~』。

♪何も語らずに/冒されていくあなたを/このまま黙って/見過ごせはしない

和田は、温暖化が進む地球への思いをこう歌った。あの『肉汁』の後に、あの妖しいいでたちのままで、だ。ただ、抜群の歌唱力がその不調和を凌駕していた。『肉汁』の向こう側にどんな思いがあるのか。和田を知りたいと思った。

「きっとエコが当たり前の社会になる。だからこそ、その大切さをいつまでも忘れないように、子どもたちに伝えたい」。エコが「ふつう」になることを歓迎する一方で、大切な思いや本質といったものを伝え続けるアーティストとしての責任。エコを歌う和田の原点は、ここにある。

エコうたユニット「にゃんたぶぅ」が胎動を始めた。