話題を聞き解く|歌で伝えるチカラ

3年ぶりに開かれた県庁オープンデー。オープニングを新生「にゃんたぶぅ」が飾った

楽曲がつないだユニット

和田の楽曲『save the EARTH ~地球が叫んでいる~』は、俳優・森田桂介との縁も結んだ。

省エネルギーセンターが主催する大規模な環境イベントのオフィシャルソングに採用され、プロモーションビデオの出演者として森田に白羽の矢を立てた。ここから、和田(たくまん)と声優・並木のり子(のんたん)に森田(もりちぃ)が加わり、子ども向けエコうたユニット「にゃんたぶぅ」は活動を本格化していく。

森田は広島県三原市出身。大阪で俳優として活動後、先輩に誘われて上京した。ルックスの良さ、俳優の経験と感覚、高校球児だった運動神経が持ち味。「自分にはない力を持っている」。和田と並木は技術が高く、個性も強い。二人を調和させる存在になる、と和田は期待をかけた。

一方の森田は、和田がユニットにかける高い熱を「和田イズム」と表現する。和田の多彩な才能に魅せられ、憧れもした。一時期、和田の画像をスマホの待ち受けにするほど心酔していたらしい。

音程を忘れたカナリア。声はいいが、歌には苦手意識があった。「自分には特別なものがない」。個性的な二人の間で、自分の立ち位置を探して苦しんだ。バルーンアートを学び、トライアスロンには3年間挑んで、招待選手として出場するまでになった。「にゃんたぶぅの活動は自分を探す旅だった」。森田はこれまでを振り返る。

にゃんたぶぅを心待ちにしていた観客が大勢訪れた

コロナ禍で気づいた
原点回帰の思い

コロナ禍が長引く中で、のんたん(並木)が卒業。久しぶりに会うにゃんたぶぅは生まれ変わっていた。

県民の日。3年ぶりに県庁オープンデーが開かれ、オープニングステージをにゃんたぶぅが飾った。新メンバーの「にゃんプリン」は、歌って踊るマスコットキャラクター。ただ、その日の体調で踊りのキレや身長がちょっと変わる、何しろ生まれたてだから。「まだ固まっていない」のがかわいい。

転機に、解散を覚悟した和田。一方、森田は続けたいと主張した。「二人がいて僕がいる。にゃんたぶぅは自分を育ててくれる場所だから、終わらせたくない」。

和田は思った――終わりは、何かが始まる時でもある。「今は、僕と森田のにゃんたぶぅになった。きっと一生もので、終わることはない」。新たなにゃんたぶぅは、この時に生まれた。では、これからどこへ向かうのか。和田がこう口にした。

「にゃんたぶぅのセンターは、きっと僕でも森田でもない」

好きなのはエンターテイメント、得意なのは俳優。森田は演劇「WE are FIRE FIGHTERS ~故郷に思いを馳せて~」に新たに向き合い始めた。

好きなのは歌、期待されるのは周りを盛り上げる力。和田は番組の司会やレポーターの仕事に関心を向ける。イメージソングやCMソングは、アイデアが溢れるように天から降りてくる、と言う。

そして、にゃんたぶぅは原点を見直そうとしている。「エコが当たり前になったからこそ、その大切さをいつまでも忘れないように、子どもたちに伝えたい」。

♪SDGs/SDGs/みんなで覚えちゃお! ♪SDGs/SDGs/みんなで行進だ!

新曲『ボクらの未来のSDGs』は、17のゴールを分かりやすく歌う。学校や団体、企業などに自由に使ってほしいと、フリーダウンロードができるようにした。

にゃんたぶぅのセンターに立つのは、きっと私たちなのだ。

(文・構成 阿久戸嘉彦)

※公開するに当たり、一部加筆・修正しました。

エコうたユニット にゃんたぶぅ
「美しい未来を子どもたちに」をコンセプトに、2008年に活動を開始したエコうたユニット。さいたまっち倶楽部(旧・勝手に埼玉応援隊)のほか、蓮田市広報大使、蓮田けんこう大使、長野県松川町広報大使、広島県三原市ふるさと大使などを務める。写真はたくまん(和田琢磨=右)と、もりちぃ(森田桂介=左)。2022年に「にゃんプリン」が新加入して、にゃんたぶぅのマスコットキャラクターとして活動している。