特集|食品リサイクルループ 加速する手がかり

エコ贔屓(ひいき)特集 埼玉新聞2022年9月15日掲載

資源循環の仕組みを地域の魅力に 木村

木村 店頭でペットボトルを回収しています。地元の食品スーパーは、お客様が慣れ親しんだ場所。買い物のついでに、と持ち込みやすいこともあって回収は順調です。容器を洗う、ラベルをはがすなど持ち込みルールを店頭に表示して協力を呼び掛けています。お客様の理解が進んで、集まる容器の品質はとても高いです。

この取り組みが全国へ広がるかもしれません。主体になるのは全日食チェーン。弊社も含めて、全国1600店が加盟しています。ペットボトルをペットボトルへリサイクルする画期的なもので、近く稼働する予定です。

消費者意識に合った啓蒙、啓発が有効だと感じます。食品スーパーは暮らしに身近な存在。加須市の取り組みに積極的に協力したいと思います。

矢島 食品残さをリサイクルした肥料で栽培した長ネギは「かぞブランド認定品」で、ふるさと納税の返礼品や給食の食材などのほか、地元のラーメン店にもご利用いただいています。地元産ならではの新鮮さ、しゃきしゃきとした食感が好評です。

リサイクルループを軸にした地場の農産物は、加須の新しい魅力になるでしょう。近く開局予定のコミュニティFM局は地域の生活情報のほか、地場産のおいしさなど加須の魅力を発信していきます。

また、食品残さを利用したバイオガス発電も視野にあります。エネルギーの循環型地産地消を実現して、地域貢献を目指したいと思います。

木村 道の駅を運営しています。産直販売が魅力ですが、周辺地域は稲作が中心で野菜の品数が少なく、時期による偏りも課題です。そうした中でも農産物の循環型地産地消は、地域ならではの魅力だと思います。

地元のうどんや手作りパンなども喜ばれます。市街の商業者のためにも道の駅の役割は大きいと考えています。

角田 ごみ減量化を推進するため、市は指定ごみ袋を販売しています。価格には、製造配送経費と取扱店徴収手数料のほかごみ処理手数料が含まれ、袋の容量に応じて価格が異なります。ごみ袋を有料にすることで、袋の購入を控える動機づけが働き、減量や分別につなげる狙いがあります。

販売収益は、生ごみ処理容器の購入費補助や資源ごみ回収報奨金、ごみ集積所の整備などに利用しています。例えば資源ごみ回収報奨金は、資源ごみの売却額に上乗せして支給するものです。中には年間50万円以上を受け取る団体もあって、リサイクル率向上の推進力の一つになっています。

お二人の話を聞いて、つながることで様々な「コト」が始まる期待が膨らみました。特に、食品リサイクルループが実現する本当の地産地消には、加須の新しい魅力づくりの可能性を感じます。この始まりから皆さんとつながって、悲願のリサイクル率日本一を目指したいと思います。

チョット違うぞ!このスーパー
株式会社ケンゾー

総合食料品販売スーパー。本部・羽生市南。「チョット違うぞ!このスーパー」を掲げた店づくりが特徴。羽生市を中心に加須市、群馬県内に7店舗を展開するほか、道の駅「はにゅう」の運営を手掛ける。2020年2月、地域活性化を目的に観光農園「ロコファームHANYU」をオープン。イチゴの収穫体験などができるほか、オリジナル商品の開発や販売なども手掛けている。