特集|食品リサイクルループ 加速する手がかり

エコ贔屓(ひいき)特集 埼玉新聞2022年9月15日掲載

●語り手

角田守良さん
加須市長

矢島孝昭さん
ウム・ヴェルト取締役副社長

木村健造さん
ケンゾー代表取締役

つながってリサイクル率日本一を目指す 角田

角田 ごみの減量は、処理費用の抑制につながります。加須市民が排出するごみは1人1日約1キロ。統計方法に違いがあるため、一様に比較はできませんが、全国的にみても決して少なくはありません。処理費用は年間約16億円。市民1人当たりの負担額は、約1万3千円にもなります。ごみの主な処理は焼却ですから「燃やすごみ」の量を減らすことが重要です。

加須市のリサイクル率は約4割。人口10万人以上の自治体を対象にした環境省の集計で、加須市は全国上位5位以内の常連です。何としても日本一を目指したい。ではどうするか。

課題は「燃やすごみ」です。すでに分別に努めていただいていますが、資源ごみが約2割混じっています。それから生ごみ。量は1割弱と少ないのですが、さらに減量を進めたい。食品ロスの削減にもつながります。

木村 食品ロス削減は、食品スーパーにとっても重要な課題です。50年ほど前、若手のしまい仕事は魚のあらを養鶏場へ運ぶことでした。煮て餌にするためです。卵をいただくことがあって、そのおいしさを今も忘れません。その日にさばいた新鮮な魚のあらを食べて育っているわけですから。

時代が変わって、現在は処理業者に委託しています。魚粉や魚油に加工され、ペットフードや石けんなどの原料として利用されています。

大きな意味では、生ごみを再利用する仕組みは変わりません。ただ、昔は地域から出たごみは地域の中で処理して再利用までするという循環の仕組みがあったと思います。