コロナ禍 肌の温度を感じる学び貫く
埼玉純真短期大学学長 藤田利久さん
昨夏の対談で、3C(チャンス・チャレンジ・チェンジ)について話題にしました。本学は保育者、教育者を養成するのが使命です。学生は将来、エッセンシャルワーカーとして暮らしを支えます。ですからコロナ禍にあっても、ただ困難を避けるだけでなく、何ができるかを自ら考えて実践する力が求められます。その意味で、学生にも教職員にとってもコロナ禍は好機だと考えてきました。
本学の「ふるさと学」は、保育士資格取得のための選択科目の一つです。授業の目標には、「郷土を知る方法や理解する態度を身につける」などを掲げています。中でも、私が重視しているのは、地域の「教育力を借りる」態度や郷土の教育資源を「保育・教育に活かす」術を身につけること。ですから、授業には地域から講師を積極的にお招きしています。
オンラインでも知識伝達はできますが、教育はできないというのが持論です。肌の温度を感じる、ものの向こうに人がいるという感覚を身につけることが、大切な人やものを守る覚悟につながると思います。コロナ禍は、そのことへあらためて思いをはせる貴重で重要な時間でした。
今年の新入生、オープンキャンパスに参加する受験生や保護者を見ていると、コロナ禍に対する意識の変化を感じます。本学は、コロナ禍のオープンキャンパスを来場型とオンラインとの併用で開いてきました。ただ、一昨年も昨年も来場が多く、オンライン参加は全体の15%程度でした。今年度も併用はしていますが、オンライン参加はもうほとんどありません。
オープンキャンパスは受験生にとって志望校選びの貴重な機会です。画面越しに教職員や学生と話す、画像や動画を観る。オンラインでも、大学の雰囲気や学びを知ることはできるかもしれません。しかし、自粛が続いた生活の中で、多くの人が肌で感じることの大切さにあらためて気づいたということでしょう。ポストコロナのキーワードの一つだと思います。
コロナ禍でも対面にこだわってきた本学の学びは将来、学生の大切な糧になると信じています。