話題を聞き解く|東京オリンピック2020

小学校の卒業文集にオリンピック選手になると記した。夢はやがて目標に、そして現実になった(写真:サイサン)

※この記事は、公益社団法人浦和法人会の会報第244号(2021年10月1日発行)に掲載されたものです。
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小さな選手が挑んだ大きな夢舞台
東京五輪 競泳日本代表 小西杏奈さん

「このメンバーで泳げること、この日本チームで戦えること、そしてたくさんの人に応援してもらったこと。その力をこの最後のメドレーリレーにかけて泳ぎました」

東京オリンピック競泳女子400メートルメドレーリレー。決勝直後の取材エリアで、小西杏奈さんはテレビのインタビューでこう語った。2012年のロンドンオリンピック以来、2大会ぶりのメダル獲得を目指した日本。白血病を克服してオリンピックの舞台へ戻ってきた池江璃花子選手が出場することでも注目されていた。

レースは、序盤から厳しい戦いを強いられた。背泳ぎの小西さんは第1泳者。6番手で泳ぎ切り、第2泳者、平泳ぎの渡部香生子選手へ引き継いだものの、第4泳者の五十嵐千尋選手がフィニッシュしたときには、トップと6秒以上の差がついていた。結果は8位。だが、4人は笑顔で抱き合った。

兵庫県豊岡市出身、25歳。埼玉県さいたま市に本社を置くサイサン(大宮区、ガスワン)から、夢の大舞台に立った。入社は19年春。日本オリンピック委員会(JOC)が仲介役になって、競技に専念できる環境を求める選手の就職先を探す「アスナビ」で同社と出合い、採用された。

メダルには届かなかった初舞台。やり切ったという自分を称賛する喜びと、アスリートとしての反省と悔しさ。小西さんにとって、分けることができない感情が混じり合う。

「オリンピック選手になりたいという気持ちだけで突き進んできました。今大会は、私がやりたいこと、コーチと歩んできた道が正しかったことの証明になりました。パリ大会へ向かって、次に何をすべきかしっかりと考えていく」

世界と渡り合えるという確かな自信と金メダルへの希望をつかんだ今大会。小西さんが見据える東京オリンピックの先を聞き解こう。

言葉にすれば、夢はかなう。まなざしはすでにパリ五輪をしっかり見据える(写真:サイサン)